つむぎとうか
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novelist登録記念に一時間くらいで仕上げた思い出。
修正とかしてないとんだ羞恥プレイです。
短いです。
フランスさん、聞いてください。
私、もしかして病気かもしれないんです――
ある日の放課後。
いつも元気な南国少女が、珍しく沈んだ様子で歩いていたので。
挨拶代わりのセクハラもそこそこに、彼女の相談に乗ってやることにした。
「とりあえず紅茶淹れますねっ」
廊下から手近の生徒会室に移動し、誰もいないのを確認してから、セーシェルは戸棚を開けた。
転入当初とは比べ物にならない慣れた手つきで、ティーセットに茶葉と並べていく。
フランスが目を細め見守る中、やわらかな香りのミルクティーがテーブルに置かれた。
フランスの向かいに腰掛けたセーシェルは、自分のカップに口をつけると、満足そうに頷いた。
促されて少女に倣う。
「美味い」
世辞でもなく、立ち上がって黒い髪をわしゃわしゃ撫でてやると、くすぐったそうに笑った。
「よかった、今回は上手くいきました!昨日なんか、眉毛野郎に嫌みったらしく『75点』とか言われちゃったんです」
途中まで弾んでいた声がしぼむ。
紅茶から連想したのか、少女は学園生活の平穏を乱した元凶である生徒会長について、ひとしきり愚痴をこぼした。
「…スッキリしたか?」
ネタも大分出尽くした頃合に、フランスはさりげなくセーシェルの傍らに座席移動して、優しく肩を抱いた。
幼少時は時々甘えていたので、少女も素直に体を預ける。
密着度合いを高め、フランシスは意味ありげに扉を見やった。
すると、
「何してやがんだ、このエロ髭野郎」
どすを利かせた声が、室内に響いた。
「おーっと、俺とセーシェルのスキンシップを邪魔するのかな?」
びっくりして眼をぱちくりさせるセーシェルを引き剥がすと、イギリスはフランスをきつく睨んだ。
「俺の縄張りで、俺の植民地といちゃつくなんざ良い身分だな?とっとと出て行け」
「これでも副会長なんだけどなー」
「会長命令だ。この赤リボンには、今から説教だ」
もちろん、鍵を掛けた部屋で二人きりでな――。
ふはははと、高笑いでもかましそうな不敵な表情になり。
アーサーはセーシェルの抗議を無視する。
苦笑しながら、フランスは素直に退室した。
すれ違う瞬間、セーシェルにウインクを投げて。
「紅茶をごちそうさま。やっぱ愛情こもってると格別だよな」
そのまま、振り向かずに部屋を後にした。
「…おい、紅茶を淹れろ」
「はぁ!?」
「即座に最高の紅茶を用意しろ。言っておくが、最低でもあの髭野郎にやったのと同じくらい飲めるレベルでだぞ」
「なっ、何ほざいてんですかこの我が儘眉毛」
セーシェルは、フランシスに見せた満面の笑顔でこそなかったけれど。
イギリスに噛みつく態度には、落ち込みの欠片もなかった。
『おかしいんです。あの俺様眉毛と居ると腹が立って、胸が熱くて、息切れしそうになるんです』
怒ったように頬を染め語った、セーシェルの“病気”。
そして、イギリスがフランスに投げた、あからさまな嫉妬の眼差し。
導く答えは一つしかない。
「俺の秘蔵の女の子だったのになー。ちゃんと、幸せにしてやれよ?」
万が一にでも泣かせたら、全力でぶちのめしてやる。
大切な少女の行く末を案じながら、フランスは拳を固めた。
終わり
「モナコー、お兄さんふられちゃった。慰めて」
「あなたは生徒会室に仕事じゃなくナンパしに行ってるのか!」
「おや、嫉妬?嬉しいね」
朱色の頬は夕陽のせいだと、眼鏡の少女は言い訳した。