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つむぎとうか

   
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お互いに
学パロ、人名使用。not学ヘタ。
西と蘭(アベル)と白(マノン)。

 自宅を後にしてほんの数分後。
「おーい、アントーニョ、いっしょに登校しいひん?」
 歌いあげるように高らかな声が響いた。
 時刻は午前七時。
「マノンにアベルやんか、おはよーさん!えらい早起きやなぁ」
 呼ばれて振り返ったアントーニョと呼ばれた青年は、元気に手を振る金髪少女、そしておなじ学ランを着た仏頂面の青年と肩を並べた。

 年子の兄妹とは学校も同じで(アベルは不本意そうだったが、通学便利な公立校は限られているのだ)、この春入学したロヴィーノと四人で幼なじみの付き合いがあった。
 が、高校生になってまで親密なやり取りを続けていられるわけもなく、普段はそうそう顔を合わせることはない。
 アントーニョは教室一番乗りの常習者だった。新聞配達で早起きした分、始業まで内職または宿題に取り組むのだ――要領の良い悪友に泣きつく頻度も高いけれど。
「嫌やざ。俺はひとりで行く」 
「そう言わんと。クラスメートなんやし、朝くらい一緒ええやろ」
 ほらほらと背を押され、兄は妹に逆らえない。重たげながらも足を動かしている。
 眉を寄せっぱなしなのは虫の好かないアントーニョが同伴しているからではないだろう。昔から低血圧で周囲から誤解されていた。
 マノンはにこやかに話しかけているものの、ロヴィーノが居合わせたら、ぼーっとしているだけとわかっていても泣きだしそうな睨み顔である。
 朝に弱いアベルがこんな時間に校門までの坂を上っているのは奇異な光景だった。おそらく妹が関わっているのだろうが。
 ――絶対に本人は認めないが、彼は重度のシスコンであった。

 下足箱で別れてしまう前に、アントーニョは少し腰を低くしてマノンに耳打ちで訊ねた。
「なあ、なんで今朝はこないな時間に来たん?」
「きょうだけちがうで、ここ数日や。起こしてくれっておにいちゃんに頼まれてん。熟睡してると目覚ましにも気づけへんから、って」
 発案者は兄らしい。 
「真っ直ぐ教室に向かうんやのうて、飼育小屋に寄るねん。昼休みと放課後は女子で賑わうから」
 そういうことか。
 高校で飼育小屋があるのは珍しい部類だが、出来たのはつい最近。……校門前にうさぎが捨てられていたのがきっかけである。
 庇護欲の強い女生徒たちが率先して寄付を募り、狭いながらも小さなうさぎたちを飼える環境を整備した。
「ごっつい顔して、あいつかわええもの好きやもんなあ。マノンが横にいたらいいわけできるし」
「付き合いたかったんはうちやで。うさちゃんのことならおにいちゃんと話できるし」
(相変わらずやな)
 近寄りがたいと言われ、人懐こい妹とは対照的な兄だ。よそよそしくするのはマノンまで孤立してしまわないためだろう。
 それはアベルの優しさだが、妹はしょっちゅう寂しいと愚痴をこぼす。
『うち、友達も大事やけどおにいちゃんかて大好きやのに。子どもの頃みたいに仲良うして欲しいなあ』
 うさぎを持ち出して必死で話しかけるマノンの姿が容易に想像できる。
 アントーニョやロヴィーノ、女友達――全てを足しても、彼女の中では兄が一番なのだろう。
 なんともほほえましいすれ違いだ。
「おいマノン、アントーニョに構ってないで早よしねま」
「せや、俺まだ昨日の宿題手え付けてへん!また今度じっくり話そうなー」

(結局、兄離れも妹離れもしとうないんやろな)
 肩を並べて去る二人を見送ってから、アントーニョはのんびり歩いて階段を上った。
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