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つむぎとうか

   
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虚勢少女
キヨテルさんとカイトさん。
ミキとユキが姉妹で氷山さん家に居候。
いろはさんはお隣に住んでます。出ないけど。

いつも、笑顔を絶やさない少女だった。
“明るい”とか“健気”だとか、そういう形容が似合うのだろう。
ミキと、妹のユキが氷山家にやって来たのは、キヨテルの住まいが一人暮らしに勿体ない広い一軒家であり、遠い遠い親戚だったからだ。
事故で両親を失い、小学生の妹を背に隠してキヨテルに挨拶した時のミキは、虚勢を張ってはいても不安げだった。
「ユキさんとは面識があります。というか教え子です」
数奇な巡り合わせだが、キヨテルの勤務先はユキの小学校だったのだ。
「遠慮はしなくていいんですよ」
初日、キヨテルは笑いかけていた筈だ。しかしミキは警戒を解くことはなかった。
学校の合間、きちんと家事をこなしながら、家主のキヨテルには常に敬語のままで。息の詰まりそうな空間だった。
「お姉ちゃんは、不器用なの」
不思議と大人びたユキのとりなしの甲斐もあって言い争いは勃発せずに済んでいたが、何だか寂しい。

「ミキは、私の前では繕った笑顔ばかり浮かべてるんです…」
酒場で愚痴を吐く。カイトは、しばし考えこんだ。
(他人に無頓着なキヨ君がここまで突き詰めて考えてるとは…どんな女の子なんだろ?)
「そのくせ、クラスメートとかいう少年と一緒の帰り道に偶然出会った時は、やたら楽しそうだったんですよっ」
不愉快そうに表情を歪める。これでは、まるで。
「キヨ君、その男の子が羨ましいの?」
図星を突かれて黙りこむのが、昔からこの後輩の習性だった。
「もうちょっと、心を開いてくれてもいいじゃないですか…」
そして泣き上戸だ。カイトは笑い出したいのをこらえた。
おそらく少女は妹を通じて、キヨテルへの接し方も変えてくるだろう。問題はその後だ。
もしもキヨテルが、少女を特別視し出しているとしたら。
(…ひとつ屋根の下、かあ。ユキちゃんはともかく、直接の教え子以外なら交際しても大丈夫だよね?)
年の差は気になるといえば気になるけれど。
真面目な後輩だから、そう簡単には手出しはしないだろうし。
第三者ならでの無責任で、カイトは口笛を鳴らした。
(興味深い子だな、今度会ってみたいかも)


 

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