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つむぎとうか

   
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stand by
現代パロなリンとグミ。
中二と高二の冬休み終盤。

リンがやや下心持ってます。

堕落を誘う悪魔の道具。
「おこたのお陰で、どれだけ私のやる気が奪われたか・・・!」
ぬくぬく状態をしっかり満喫しながら、この冬何回口にしたかわからない後悔をまた呟く。
「しょうがないよねー、広げた宿題が進まないのも」
お盆に湯呑みを乗せて運んで来た幼なじみが、苦笑しつつ足を突っ込んだ。

クリスマスも正月も、理由をつけてはグミの家に入り浸ってだらだら過ごしていた。親には一応、年上に勉強を教えてもらう、という口上を述べてはいたが。
鏡音家には和室がない。
リンもレンも毎年こたつが欲しいのだと申請はするものの、仕事で留守がちな両親が買ってくれる日は未だ来ず。
必然的に、家族同然の隣家にお邪魔する頻度が上がるのだった。
「がく兄やリリ姉はどうしてる?」
「二人とも、年賀状には双子に会いたいって書いてたよ」
リンから見ると三つ年上のグミだが、三人きょうだいの末っ子にあたる。教育方針で、大学入学と同時に一人暮らしをすることになっているのだ。
高二のグミも、来年の春には家を出る。
「ずうっとこのままだったらいいのに」
「さすがに怠けすぎでしょ」
リンは鞄から漫画を取り出し、グミは年賀状の返事を葉書に認めている。時々ぽつぽつ会話はするけれど。
肉親と違わず親しんだ存在が遠くへ行ってしまうのは、やはり寂しい。
「・・・浪人したらどうなるの?」
「縁起でもないこと言わない!入学できなくても、予備校の寮に入るんじゃないかな」
兄姉に続いて自活していくことに迷いもないらしく。
リンはむっとした。
「だってがく兄が言ってたもん。グミ姉は甘えただから、リンとレンに遊んでやってくれって」
「いつの話してるの」
小学校か幼稚園か。ずいぶん昔の話だが、大事な約束として覚えている。
リンにとって、グミのいない生活とは考えにくいものだった。
グミは、ふてくされてそっぽを向くリンの頬をつついた。
「あのねえ、私だって不安がないわけじゃないよ?お兄ちゃんもお姉ちゃんも手探りで何とかやってるみたいだし、時々メールや長電話の相手をすることで気も紛れるみたいだから」
ーー私が淋しくなったら、真っ先に聞きたいのはリンちゃんの声だよ?
真剣に恥ずかしい台詞を囁かれた。
「私、グミ姉の支えになれる?」
「当たり前でしょ」
眩しい笑顔だ。全く、リンの気も知らないで。
「三年なんてあっという間よー、同じ大学に入ったら一年は一緒に過ごせるじゃない」
中学も高校も重ならない年齢差だけど。
「グミ姉、志望校どこだっけ?もし私が合格したら、おなじ所に住んじゃおう!」
「さすがにそれは気が早いよ」
でも、否定はされない。たったいまリンの目標が決まった。
「勉強がんばる!」
「やる気が復活して良かったね」
知らぬが仏。
グミと同棲、という煩悩を手に入れた今、こたつの魔力など塵に等しい。
漫画を閉じたリンは勢いよく自宅へ帰り、部活から帰ったレンも驚くスピードで積んでいた宿題を片づけ始め。
・・・知恵熱を出し、始業式前日までグミの手厚い看病を受ける羽目になった。

終わり
 

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