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つむぎとうか

   
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ちいさな気遣い
11/22はわんわんにーに の日です。
湾ちゃんと湾君と中。激短文。
(※区別のため中への呼称を湾ちゃん→老師/湾君→せんせ で統一しています)

自宅で半身を曲げ、うとうと微睡んでいたら。
華奢な腕がそっと毛布を掛けてくれた。
中国は気配に薄目も開けなかったが、それでも口元がにやけるのは抑えられなかったらしい。
「ちょ、せんせ意識あるヨー!?」
「おかしいネ、さては狸寝入りして」
「誤解ある、両側から近寄られたから目ぇ覚めちまっただけあるよ」
お前ら、午睡時間に遊びに来るんじゃねーある!
照れ隠しに怒りのポーズをつくると、よく似た二つの顔が揃ってしゅんと萎んだ。

遊びじゃなくて仕事で来たんだもん、とは、気の強い妹談。
判子だけ貰ったらお茶でも馳走になろうと思っていた、と、弟が白状した。
「「でも老師(せんせ)、ソファで眠ったりしたら風邪ひくヨ(ぞ)」」
もう若くないんだし――打ち合わせでもしてたのかと疑うほど揃った喋りだった。
「うるせー、目上を敬えある」
すぐいじける所がまた子供っぽいのだが。
がしりと。
ぷいっと後ろを向いてしまった中国の肩を、弟が掴んで、ソファの裏側に回った妹が視線をつかまえた。
「老師が心配だから、毛布かけようとしたんだヨ」
邪魔したのは悪かったけどと、妹は大きく笑みを刻んで魅せた。
年下の特権。特大のにっこりを差し出されると、昔から弱いのである。
「機嫌も直ったみたいで良かった」
ぱっと、捕えていた手を解放して、弟が中国の頭をぽんと撫でる。いつのまにか背丈も抜かれてしまった。
がっしり成長した弟に、柔らかさを帯びた妹。欧州の国々とは規格が別だとしても――随分と変わったものだ。
でも、えくぼは昔日のまま。
「・・・午後の就業までには、まだ余裕がある。お前達とお茶を過ごせるくらいなら」
「「やった!時々無性に飲みたくなるんだヨ(よな)」」
またしてもぴったりな呼吸で。仲の好い二人の台湾たちは、定期的に中国が寂しくならいように“点検”と称してやって来るから。
知らないはずがない。
「日本や韓国の奇行を挙げながら、ゆっくりしてくといいある」
「せんせのパチもん趣味も相当だって聞いたけどネー」
弟を従え台所で茶器の準備をする。妹は卓を片づけてくれている。
あたたかい湯気が充満したら、しばし会話を楽しもう。
(きょうの飲茶はいつもより美味いと感じるだろう)

終わり

湾君は気の強い姉に反してやや優柔不断で気を遣う性格だと萌える。
弟妹で協力して中国さんを喜ばせたがっているんです。
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