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つむぎとうか

   
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よく似たふたり
普洪+独列。
初々しい独列と熟知している普洪。


昼食を終え、書類を提出した帰り。
ハンガリーはプロイセンとドイツの家に足を伸ばした。
特に用はなくても、顔を見ておこうかと思ったのだ。かわいい弟みたいなドイツと、…腐れ縁で何故か恋人である男の。
玄関先で、バスケットを提げた少女と遭遇した。
「リヒちゃん、こんにちは」
「まあ、ごきげんよう」
ぺこり、お辞儀した彼女はドイツの恋人だ。ハンガリーは勝手知ったる様子で合鍵を取り出し、ドアに差し込んだ。
プロイセンはわからないが、リヒテンシュタインは約束をして来たのだろう。ドイツはいるはずだ。
「誰かいるの?」
静まり返った家、ハンガリーは少女を従えてリビングに入った。
中央のソファに、体格のいい男が寝転がっていた。
(プロイセンさん…でしょうか…)
広げた新聞が頭を覆っているので、顔はわからないが、ドイツはリヒテンシュタインと会う時はいつもちゃんとした身なりを整えていた。
一方、横たわる“彼”は上半身裸である。
「全く、しょうがないわね」
反応できない少女を尻目に、苦笑しつつ近寄っていくハンガリー。耳元にそっと囁きかけた。
「リヒちゃんがご到着よ」
「っ!?」
新聞をはねのけ、慌ててがばりと起き上がったのは――普段あれだけ堅苦しい(イタリアに裸のシエスタを注意していた)ドイツだった。
「すまない、もうそんな時間だったのか」
「疲れがたまってたにしろ、約束があるんだから午睡は控えなきゃ」
オールバックでない彼は新鮮で、少女は目をぱちぱちさせた。
「ほとんど同じ体格なのに…ハンガリーさん、すぐにわかったんですか?」
ちょっぴり悔しくもあった。ギャップがあるとはいえ、恋人が判別できなかったのだ。
「お、ヴェストにハンガリー、リヒテンシュタイン」
階段からプロイセンが下りてきた。
「リヒテンシュタインは、んな顔曇らせてどーしたんだ?つらいことでもあったか?」
「…いいえ」
大丈夫です。プロイセンに微笑みかけると、ハンガリーは察したようだった。
「あのねリヒちゃん、ドイツ君はあなたの前で格好つけてたかったんだから、わからなかったとしても仕方ないわよ?」
あんたたち兄弟は顔以外は似てるんだから。ハンガリーはプロイセンの肩を示した。
「うるせ、お前は一目で区別つけてんだろ」
「筋肉のつき具合で瞭然じゃないの」
裸のほうがわかりやすいわ、と、しれっと言い放つ彼女。ドイツは少女に向けて手を合わせた。
「ハンガリーの見分け方が特殊なだけだ。リヒテンの前で醜態を晒してしまったこと、反省している」
――お詫びに、これからちょっと遠出しようか。
手早く着替え支度しながら、ドイツが誘う。
「でも私は、貴男のちょっと気が抜けた所も、知りたいです」
それが恋人というものでしょう?小声のぼやきは、果たして背中に届いたかだろうか。

「ヴェスト、真っ赤だぜ?」
「によによするのは止しなさい」
すっかり当てられたふたりがドイツを眺めてこそこそやり取りしていたのは、リヒテンシュタインの与り知らぬ所であった。
(そもそも、筋肉で見分けてるとか出任せを。愛しい相手の裸を見間違うはずないだろ?)
(ふん、言ってなさい)

終わり
 

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