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つむぎとうか

   
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祝いのティータイム
ミキさん、氷山キヨテルさん、歌愛ユキさん、一周年おめでとうございます!
発売日=誕生日の認識でいいのかな、と迷いつつ滑り込みでのお祝い駄文です。
がくぽ×ミキが付き合っていたりします。

チャイムが鳴った。
「失礼する、ミキ殿は御在宅か」
「いませんお引き取り願います」
ドアの隙間から高音を張り上げるのは、この家唯一の男手だ。休日なのになぜかスーツを着ている。
「玄関に女物の靴があるぞ。この前デートで贈った新しいブーツだ」
「聞―こ―え―ま―せ―ん―ミキに彼氏なんて認めてませんから―!」
「キヨテル先生ってば、来客を拒否っちゃだめ」
がくぽの背中からひょこっと現れたのはグミだ。
さらに後ろにはリリーに手を引かれたがちゃぽが控えている。
「あ、グミさん!?いらっしゃい、散らかってますがっ」
慌てて迎え入れる。何この態度の変わりよう。
「どうしたんですか。急に賑やかになって。…あれ、がくぽさん」
エプロン姿でひょっこり顔を出したミキが、驚きに目を見張る。
当然だ、『この日は会えない』と申し訳なさ全開でメールを打ったのが三日前のこと。
きょうの訪問は仕事の一環だ。
のんびり過ごしたいのは山々だが(最後にデートしたのが先月の半ばである)、本業をサボってはいけない。がくぽはマスターから預かった封筒を恋人に渡した。
「これに、仕事の指示が記してあるのだそうだ。我々は知らされていないが、AHSの皆に先に読んで貰えと承った」
「はあ」
かさり。キヨテルが開き、ミキが文面を追う。
数十秒後、綻んだように満面の笑顔になった。
「――本当に、書かれた通りのことをしてくれるんですか?」
「出来る範囲で。まさか、無茶な指示なのか!?」
「ああ、これは難しそうだ」
いろはとキヨテルがユキに耳打ちしている。
ショウタとアイもててっと駈け寄ってきた。
ユキはがちゃぽに向き直ると、嬉しそうに告げた。
「あのね、みんなで私たちを祝うのがお仕事なんだって!」

 

マスター同士がまとめて息抜きをプレゼントしてくれたものらしい。
クリプトンメンバーからの祝いも届いているらしく、居間には色とりどりのプレゼントが置かれていた。
月読兄妹にはおもちゃ、ユキにはかわいらしい文房具セット。キヨテルには革の定期ケースを見繕ったらしい。
「私には、カシミヤのマフラーをくれたんです」
あたたかそうなクリーム色の防寒具。
それがまた彼女に似合っていて、悔しくなった。
「これも、受け取ってくれるか?」
がくぽはジャケットのポケットに手を差しいれた。
取り出したものはちいさな箱。
仕事の合間に、こっそり渡せたらいいと思って用意していた。
「あ、開けていいですか…?」
緊張で震えながら、ミキは中をあらためた。
真っ赤に染めた頬で、恋人を見やった。
「気に入ってもらえたら良いのだが」
「嬉しくないわけがないです!」
そこに入っていたのは、銀色のブレスレット。
控えめにあしらわれた花の飾りがアクセントになっている。
「早速、つけて――でも、先にケーキを仕上げちゃいますね!」
まだエプロンは外せませんと、解けかけたリボンを再び結ぶ。
彼女が台所に戻るのを眺め、がくぽはにやけるのを抑えきれなかった。

「幸せそうにしないでください気持ち悪い」
ミキとの交際をひたすら妨害してくるキヨテルが、じと目でがくぽを睨んだ。
「まあまあ、お兄ちゃんにも癒しが必要なのよ」
そのキヨテルと最近親しいグミがとりなす。妹を眼鏡教師には渡すまいと、がくぽは拳を固めた。
「僕も、ミキのためになるなら応援したいんですけどね。侍とか言ってて長髪ってどういうことですか。剃髪してから出直してください」
穏やかな物腰のくせに辛辣である。
「あの子は優しいですから。きょうだって自分の記念日でもあるのに、僕たちにおめでとうを言って回って、ケーキまで焼いてくれてるんですよ」
「シスコンキヨテル殿が反対しようとも、聖夜には彼女を借り受けるからな」
「ほら―、いがみ合いストップ!お茶の準備が出来ましたよ!」
いろはとミキが呼びかけて、ケーキの皿が配られる。
キヨテルとミキとユキのために、おめでとうの歌を。

HAPPY BIRTHDAY!

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